技術紹介
いちごSi株式会社は、もみがら由来シリカを独自のISI焼成方式で高機能複合化し、優れた熱・電導性を有する新素材「NEO SILICA」の研究開発を推進しています。
NEO SILICA
NEO SILICA
NEO SILICAはもみ殻からISI燃焼方式で調製される焼成体で、主要な成分はシリカと炭素からなります。粒子の形状はもみ殻の形態を保存した複雑なものです。両表面がシリカから、内層が非晶炭素を主要とする成分から構成される、シリカと炭素が密接に接着したシリカ-炭素複合体粒子です。
ナノシリカ(NEO SILICA由来)
もみ殻焼成物からシリカ成分をアルカリで抽出して、再沈殿して沈殿シリカを得る方法は広く行われています。 いちごSiではNEO SILICAのアルカリ賦活に際して同時に、反応後の洗浄液からシリカを生成する、合理的な製法を開発しています。 賦活反応洗浄液はK2OとK2SiO3の混合水溶液からなり、これに酸を加えて析出させることで、高いPHでの結晶成長では40nm径のナノシリカ、低いPHでは20nm径のナノシリカを調製することができます。
ナノシリカ(NEO SILICA由来)
※PH=7.0 で析出のナノシリカ(低純度)
※PH=3.5 で析出のナノシリカ
多孔性炭素材(NEO SILICA由来)
多孔性炭素材(NEO SILICA由来)
NEO SILICAをカリウム賦活した多孔性炭素の微細構造は、マクロ孔、メソ孔およびミクロ孔の階層的構成となっています。粒子形状は扁平で、断面には10-20mmのマクロポアが存在し、表面には10nm程度の微細な粒状組織が見られます
NEO SILICAはカリウムで賦活することで、炭素材料として最高レベルである3,000m2/g以上の比表面積を有する多孔性炭素を誘導することができます。 全細孔容積や細孔サイズは、賦活条件で制御することが可能で、多様な用途に適した細孔デザインの可能性があります。

電気二重層キャパシタ(NEO SILICA由来)
電気二重層キャパシタ(NEO SILICA由来)
NEO SILIC由来多孔性炭素は電気二重層キャパシタ(EDLC)の電極材料としての応用が期待されます。まだ開発の初期段階ですが、有機電解質を用いた時のキャパシタ性能は、高出力を特徴とするスーパーキャパシタの中でも、最高レベルのエネルギー容量のポテンシャルを示しています。
NEO SILIC由来多孔性炭素を電極材料とするEDLCの電気化学的特性を、市販の優れた電極材料と比較して示します。NEO SILICA由来EDLCが高い容量をとることは、充放電曲線やCVデータから明らかです。またCVパターンは理想に近い矩形パターンをとります。但し、内部抵抗は市販の材料より改善されているものの、インピーダンス測定で見られる高い電荷移動抵抗は、今後の改良が必要です。
ナノシリコンハイブリッド(NEO SILICA由来)
シリコンは次世代のリチウムイオン電池の高容量負極材料として期待されていますが、充放電時の膨張収縮で粒子が崩壊することから、形状変化を制御する構造化が試みられています。NEO SILICAのMg還元では、ナノシリコンとナノSICと非晶炭素のハイブリッドが生成します。シリコンのナノサイズ化とハイブリッド効果による、シリコンの膨脹歪を制御することを探索しています。
ISI焼成方式
ISI焼成方式はもみ殻を高効率で連続焼成する方法で、もみ殻の自家燃焼で進行し、定常状態では外部加熱なしで高速で焼成体が得られます。 もみ殻の投入量と、空気の導入量で温度を制御することで、焼成体の残留炭素量を制御することができます。 必要な設備構成は極めて簡素なため、米穀産地ローカルで移動運用可能な、ポータブルな設備としてのポテンシャルを有しています。
